4/16/2016

熊本震災、生死を分けた南阿蘇村の学生村 友人たち

 

震度6強の激震が学生アパートを押しつぶした。熊本県南阿蘇村の河陽地区。近くにある 東海大農学部の学生が多く住む「学生村」で、わずかな差が若者の生死を分けた。

「突然どーんと突き上げられた後、何も分からず隙間に逃げ込んだ」。助かっ た若者は地面にへたり込み、やがて、がれきの中から発見された友人たちの遺体を涙で見送った。


崩れ落ちた山が国道57号をのみ込み、阿蘇大橋を崩落させた。その大橋を渡った先に数十棟のアパートが集まる学生村はあり、約830人が暮らす。4棟ある2階建ての「グリーンハイツ」では複数で1階部分が押しつぶされた。

避難所へ向かう生徒たち

1階に住む同大3年の宮本真希さん(20)は就寝中、突然の大きな揺れに目が覚め、壁が倒れてきた。夢中で目の前の隙間に逃げ込んだが、身動きが取れな い。自力で逃げた学生たちが救助活動に当たり、「頑張れ」「大丈夫か」と励まし続けた。約3時間後、知人らがチェーンソーでがれきを取り除き、無事救出。 「助かったのは友人たちのおかげです」と感謝した。

 別のアパート1階に住む農学部の女子学生(22)も「柱か机の下か分からないが、目の前の何かの隙間に入り込んだ。『助けて!』と何度叫んでも反応はない。そのうち『壁をたたいてください』という声が聞こえたんで、夢中でどんどんと壁をたたいた」。

  同じく1階に住む同大1年の中島勇貴さん(18)はうつぶせで寝ていると、背に重たいものを感じた。「息苦しく、死にたくないと呼吸に専念した。真っ暗で どれほど時間がたったか分からないが、やがて鳥の声が聞こえ朝だと思った」。チェーンソーで体が通れるだけの穴が開き、引っ張り出された。



 救出された学生はぼうぜんと立ち尽くしたり、簡易ベッドにへたりこんだりしていた。その脇を、毛布にくるまれ、ブルーシートで隠された複数の遺体が運び出された。その姿を見つめながら、学生たちはすすり泣き、手を合わせ、黙とうした。

 熊本県警によると、遺体で見つかったのは同大4年の脇志朋弥さん(21)と、同1年の清田啓介さん(18)。2人とも1階で見つかった。身元が確認されていないが、1階に住む男子学生がもう一人亡くなっている可能性が高い。

 脇さんは勉強熱心で、頑張り屋だった。「教員になるか、大学院に進学するか相談を受けていた。本当に残念だ」。先輩の一人は悔しがった。

 清田さんは明るい性格だった。「最後に会ったのは15日。一緒に食堂でご飯を食べた。まさか最後になるなんて…」。同級生は声を詰まらせた。

=2016/04/16 西日本新聞=






    Choose :
  • OR
  • To comment