3/10/2014

震災孤児、育ての親に目立つ疲れ…支援は手探り

 

津波被害が大きかった宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区では多くの人が花を供えた。熊谷天弓(あゆみ)さん(29)=同県岩沼市=は三男の瑞輝(みずき)ちゃん(3)を連れて亡くなった祖父母の追悼に訪れた=11日午後0時16分(堀川貴志)http://yamagata-np.jp

東日本大震災で両親が死亡したり、行方不明になったりした震災孤児の「育ての親」たちに、疲れが目立ち始めている。

 多くが、祖父母やおじ、おばなどの親族だが、高齢による体調不安や、慣れない子育てへの戸惑いなどを抱えている。専門家らは、心のケアも含めた「継続的 な支援が必要だ」と指摘し、孤児の支援団体も実態調査に乗り出しているが、育てる側をどう支援していくか、手探りが続いている。

 岩手県釜石市で孫2人を育てる祖父の男性(92)宅では、食卓に蓋やラップをした肉野菜炒めや焼き魚などの皿が並ぶ。「夕飯はヘルパーさんが作ってくれている」。電子レンジで温め、孫に食べさせるのが日課だ。

 孫は中学3年の姉(14)と小学6年の弟(12)。2人の父親だった祖父の長男は2008年に病死。障害者施設で働いていた母親は、津波にのまれ、亡くなった。

 同居していた祖父が孫を育てることになったが、足腰が悪く、車の運転もできない。毎日ヘルパーに買い物や掃除を頼み、孫の学校とのやり取りは近くの親戚 らが手伝う。それでも昨秋には体調を崩して1か月半入院した。周囲の助けで何とか切り抜けたが、「自分はともかく孫が心配。2人が学校を卒業するまで、あ と10年は生きないと」と語る。

 育ての親の多くは、国などが子供の生活費や教育費などを支給する「里親制度」で月額で5万円程度の支援を受けている。しかし、事前に十分な研修を積む一般的な里親のケースとは異なり、突然子供を預かることになった人ばかりだ。

 岩手県の委託で、震災孤児を抱える12世帯を定期訪問している児童養護施設職員の金野祐樹さん(41)は、「昨春頃から里親の悩みが深くなってきた」と 明かす。子育て経験がないまま子供を引き取り、「同級生の親との付き合いがつらい」と漏らすようになった女性や、実子2人を含む5人の子供を育てることへ の不安を口にする男性らの例を挙げた。

 こうした現状を受け、東北大などが育ての親を対象とする実態調査を始めた。同大震災子ども支援室長の加藤道代教授は「育ての親の多くは、家族を失った悲 しみを感じつつ、『身内が育てるのが当たり前』との使命感で子育てに力を注いでいる。中には弱音を吐けない人もいる」と語る。


最終更新:3月10日(月)17時46分

読売新聞より

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