2/15/2012

被災地の「復興バブル」、光と影

 

たくさんの建設関係者が集まる仙台のある街では、一部の店が無許可で営業する問題も起きていて、復興にかける地元の人は複雑な思いを抱いています。

東北一の歓楽街、仙台の国分町。沿岸部の復興がなかなか進まない一方で、今、この街はにぎわいを見せています。

「震災のこと忘れて、にぎわっている感じですね」
「震災前より忙しくなった」(飲食店従業員)

国分町では震災復興に伴い、町全体が好景気に沸く「復興バブル」といわれる現象が起きています。大正5年からおよそ100年にわたり、ここ国分町を中心に業務用の酒卸業と不動産賃貸業を手がけてきた「藤原屋」社長の社長・佐藤裕司さん(49)。

「ゴールデンウィーク明けから急に売り上げが上がっている。復興支援に入っている建築の方々も来られるし」(カネサ藤原屋社長 佐藤裕司さん)

町内で取りまとめる300店舗以上の飲食店では震災後、およそ2割近く売り上げが上がったといいます。「復興バブル」の大きな要因、それは被災地の復旧作 業に携わる県外から来た建設関係者などの存在です。彼らは復興への過程で需要が増えたことから、普段よりも高い給料を手にすることができるようになりまし た。そのため、夜の飲食店に集まる人が増えたということです。岐阜県からやってきたこの男性もその1人です。

「(国分町は)今回で4回目です。今年いっぱいは間違いなくいますね」(岐阜県から来た建設関係者)

このような動きを逃すまいと、国分町進出に躍起になっているのが県外の飲食店経営者です。

「国分町がえらい景気がいい感じで人がいっぱい出てたので、じゃあ国分町に行こうかと」(「クラブヴェルニ」 田中智昭店長)

もともと東京で飲食店を展開してきたこちらの男性は、国分町で新たに2店舗を構えたということです。

「先月の13日にこっちに(店が)できました」(「クラブヴェルニ」 田中智昭店長)

好景気に便乗しているのは合法店に限ったことではありません。震災後、無許可の風俗営業などで多数の外国人が検挙されているほか、悪質な客引きなどの違法行為も横行しています。

「(震災以降)違法な客引き行為として20人以上をすでに検挙、摘発しております」(仙台中央警察署国分町交番 齋藤宏祐所長)

しかし、被災地での対応に追われる警察は取締りの強化にまでは手が回らずにいるのが現状です。

8月のピーク以降、現在は落ち着きを見せている「復興バブル」。去年成立した第3次補正予算のうち、建設業界に下りるのはおよそ6兆円。新年度以降、さらなる増加が見込まれる被災地での建設ラッシュに便乗して、県外から新たに店舗を構える動きが活発化しています。

にぎわいを見せる国分町。その一方で、「忘れてはならない震災の記憶が風化していくのではないか」という不安を感じている人もいます。

「実家が津波でやられ、親戚も亡くなったということと国分町が栄えているということを関連付けしたくない。複雑な心境というのはある」(飲食店案内所で働く人)

地元で生きていた佐藤さんは「復興バブル」に躍らされることなく国分町全体を立て直し、被災地に投資という形で還元したいと言います。

「この時期に商売をきちんと立て直して、(いずれ被災地に)返せればいい」(カネサ藤原屋社長 佐藤裕司さん)

国分町の人々は「真の復興」を願っています。(15日18:11)

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