2/15/2012

福島の「見えない雪」は今

 

ロイター通信 写真部
中尾由里子

東日本大震災の発生から間もなく1年。私は福島市内にある常円寺のご住職、阿部光裕さんを再び訪ねることにした。半年前に取材した時には、ご住職は放射能汚染の影響を和らげようと、ヒマワリを栽培したり、種苗を配る活動を行っていた。

それ以来、ご住職一家とは定期的に連絡を取っている。辛い状況に直面しているにも関わらず、ご一家は屈託のない様子で接してくれる。ある日の夜、ご住職が興奮気味に私の携帯に電話をかけてきた。世界体操のテレビ放送に、取材中の私が映っていたのだという。

そうした関係が築けていたことが功を奏したからか、半年ぶりに取材で伺った際にも、私は日常生活の一部に溶け込むように、僧侶であり、かつ3人の男の子の父親でもあるご住職が放射能汚染と闘う様子を取材することができた。

2月初旬に常円寺を訪ねた私を待っていたのは、以前と全く異なる光景だった。ヒマワリの花が咲き乱れ、セミが騒々しく鳴いていた半年前の様子は一転、一面雪に覆われた、静寂が広がる世界となっていた。お寺の入り口の隣には汚染土壌などの貯蔵容器が積まれていた。

ご住職は以前、放射性物質を「見えない雪」と呼んでいた。いまやその「見えない雪」は、本当の雪で覆い隠されてしまっている。「現実の雪は冷たくて大変ですが、見えない雪よりもずっとやさしい。見える雪はいずれ解けて消えてしまいますから」とご住職は語る。

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http://blogs.jp.reuters.com

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