2/11/2012

津波犠牲者を描いた「面影画」が本に

 



 東日本大震災の際に、津波で亡くなった人を描いた「面影画」という絵が本になります。震災経験を風化させたくないという被災者の思いが出版を後押ししました。

 東京都のデザイン会社役員、黒沢和義さんは今、出版の準備に追われています。タイトルは「面影画」。津波で亡くなった人たちの生前の表情を生き生きと描いた作品集です。

 去年6月、黒沢さんは岩手県陸前高田市で、津波で流された写真の代わりになればと、亡くなった人の似顔絵を描くボランティアを始めました。顔の特徴などを聞き取り、4か月で126人を描きました。

 菅原由紀枝さんも両親を津波で亡くし、黒沢さんに面影画を依頼した1人です。

 「母はそっくりで、父は若々しく描き直してもらったので、得したなと。人間としてはいないんだけれども、面影画は母と父そのもの」(菅原由紀枝さん)

 一方で、面影画は悲しい記憶、3月11日につながっています。

 「あの日のせいでいなくなった人はすごくたくさんいて、残念ですけど・・・」(菅原由紀枝さん)

 「我々が想像している以上に喪失感は大きいですよ。全然癒されてもないし。これ(面影画)をつくっているのは、この人たちのためにつくる気持ちです」(黒沢和義さん)

 遺族のために描いたこの絵を、世間にさらしていいのか。出版社からの申し出に黒沢さんは悩み、面影画を持っている人全員にはがきを出しました。そして、返ってきた9割が、出版に賛成でした。

 「この言葉を見たとき、すごいうれしかった。終わるはずだったものがつながったみたいな。あ、やらなきゃいかんと思った」(黒沢和義さん)

 「亡くなった人の何千人何万人という数じゃないことが世の中にも伝わってもらえれば、それでいい。悲しみの思いも、生きてた思いも、また残っていくことはいいこと」(菅原由紀枝さん)

 大震災からもうじき1年。亡き人をしのぶ面影画は、震災の記憶を風化させないため、今月下旬、書店に並びます。(11日17:37)

TBS News

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