1/13/2012

希望新聞:東日本大震災 遺体復元、悲しみも清め 納棺師追った児童書出版

 

東日本大震災直後、岩手県沿岸部で遺体を復元するボランティアを続けた納棺師、笹原留似子さんの姿を追ったノンフィクションの児童書「心のおくりびと 東日本大震災 復元納棺師~思い出が動き出す日~」(今西乃子著、浜田一男写真、金の星社、1365円)が出版された。津波でひどく損傷した300体以上の遺体を元の姿に戻し、遺族の悲しみに向き合った150日がつづられている。

笹原さんは、同県北上市で納棺業を営んでいる。遺体を清めてひつぎに納めるのが主な仕事だが、事故や災害で傷ついた遺体を、写真を基に復元することもある。

震災後、支援物資を満載した車で陸前高田市に入った笹原さんは、安置所で3歳くらいの幼女の遺体を目にした。髪には藻や砂がこびりつき、顔は黒く変色していた。「自分ならかわいい顔に戻せるのに……」と思ったが、遺族の許可がなければ復元できない。笹原さんは悔しさで涙を流した。

笹原さんはその後、遺体の復元に全力を挙げる。復元した遺体のなかには、生後10日でお母さんと一緒に津波にのまれた赤ちゃんもいた。口から脱脂綿をつめて頭部の形を整え、まるで寝ているような穏やかな顔にしてあげた。部分的に白骨化してしまった女性もいた。顔だけでなく、手も復元し、遺族は生前に用意していた結婚指輪をはめてあげることができた。

同書では、そんな笹原さんの活動をはじめ、遺族の心のケアのため、医師と連携する様子も描かれている。著者の今西さんは「遺族が本当に求めていた支援をした笹原さんや、被災地での事実を忘れないでほしい」と話している。【木村葉子】

朝日新聞

    Choose :
  • OR
  • To comment