1/03/2012

津波から逃げる事で救われた町

 

青森県境にある岩手県洋野町は、東日本大震災の被害が大きかった岩手、宮城、福島3県の沿岸自治体で唯一、死者・行方不明者がゼロだった。南北に長い人口1万9000人の町。「とにかく逃げろ」。過去の津波被害の教訓から、その意識の高い町民が多かったという。他の自治体では避難誘導などで犠牲者が出た消防団も、任務終了後は逃げることを徹底した。犠牲者ゼロの陰には、町を挙げたここ数年の取り組みがあった。(亀山貴裕)



<町道を封鎖>
洋野町役場に勤める佐々木安武さん(52)は3月11日、庁舎で激震に見舞われた。「尋常ではない」。
即刻、所属する地元消防団の詰め所がある八木地区(約260世帯)に車を走らせた。

役場から約8キロ離れた詰め所には数分で到着。同地区は数々の津波被害に遭ってきたにもかかわらず、町内で唯一、防潮堤が整備されていない。

「すぐ高台に避難してください」。消防車両に乗り込んだ佐々木さんは、拡声器で呼び掛けた。約10分後、事前に取り決めていた高台に退避。住民が低地に降りないよう、町道を封鎖した。全て訓練通りだ。

他の地区の消防団員も、分担で決まっている水門全部を12分以内で閉鎖し、すぐさま避難した。


八木地区を担う消防団第2分団第3部長の久保利美さん(59)が説明する。「消防団も任務を終えたら退避を徹底する。そう決めていた。津波には誰だって勝てない。死んでしまえば、その後の活動もできなくなる」

<意識変える>

同町では明治三陸大津波(1896年)で254人、昭和三陸津波(1933年)で107人が死亡。その多くは八木地区の住民が占めた。今回も、八木地区を含めて住宅55棟、漁業施設などの非住宅125棟に津波被害が出た。
漁船に至っては7割近くを失った。

それでも犠牲者どころか、けが人すら出なかった洋野町の「奇跡」。その背景には、海のそばに丘陵地が広がる地形、消防団の意識改革、住民の日ごろの備えもある。

河北新報 東北のニュース/岩手・洋野町、犠牲者ゼロ 「まず逃げて」訓練奏功http://www.kahoku.co.jp/news/2011/11/20111124t33018.htm

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