1/13/2012

一体一体描いて2年 仏画で6434人の冥福祈る

 


地蔵一体一体に犠牲者の名前を貼り付けた仏画を完成させた桜井健さん=神戸市兵庫区水木通

阪神・淡路大震災で妻を亡くした桜井健さん(84)=神戸市兵庫区水木通=が、犠牲者6434人の冥福を祈る仏画を2年がかりで完成させた。約4900人分の犠牲者名簿を取り寄せ、地蔵1体ずつに亡くなった人の名を付けた。悔しさと寂しさに向き合い、過ごした17年。桜井さんは「ようやく心が落ち着いた」とほほ笑んだ。(岸本達也)

桜井さんが暮らしていた木造の自宅は震災で全壊し、妻房子さん=当時(64)=が亡くなった。自らも6時間生き埋めになり、搬送先の病院で妻の死を知らされた。

「妻の死に目に会えなかった。申し訳ない、という気持ちがずっとあった」と桜井さん。乱れる心を収めたい、と3年前から取り組んだ折り鶴が昨年、6434羽に達した。

さらに、妻を含め震災犠牲者全員を供養したい‐と始めたのが仏画だった。震災発生当時の新聞などから犠牲者名簿約4900人分を集めてコピー。カレンダーの裏紙に水彩絵の具で描いた地蔵一体一体の横に、切り抜いた名前を1人ずつ貼り付けた。

地蔵の絵は1枚につき48体ずつ。計103枚に及んだ仏画は、昨年11月末に完成した。「犠牲者には知った人もおり、名前をはり付けるたび、たまらない気持ちになった」と振り返る。

妻の名は赤いペンで囲んだ。学生時代に知り合った妻。ブラジルに渡っての農業指導の仕事、神戸での学習塾経営と、2人で力を合わせて生きてきた。桜井さんは「妻の名の付いた地蔵は、優しい表情が妻に似て、愛着がわく。毎日がつらかったが、17年は早かった。仏画を描くことで穏やかな気持ちになれた」と話している。


http://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/0004739572.shtml

記事:神戸新聞社

    Choose :
  • OR
  • To comment