12/03/2011

全裸、排泄物…えげつなさすぎる滋賀「いじめ」

 

滋賀県高島市で、男子同級生(15)を全裸にさせ、携帯電話で写真を撮影したうえ暴行し、排泄(はいせつ)物を持たせて教諭の車にすりつけさせたショッキ ングな事件が起きた。

県警に強要と暴力行為処罰法違反の疑いで逮捕された高島市立中学校3年の男子生徒3人は「からかい半分でやった」などと供述している とされる。

学校側がいじめに発展しそうな行為を認識したのは今年6月。しかし、「いじめ」として市教委に報告していなかった。事件に発展する「兆し」はな ぜ見過ごされたのだろうか…。(本間英士、加藤園子)

ピースサインまで…


高島市は琵琶湖西部に広がる滋賀県内で2番目に広い自治体で、人口は5万人あまり。いじめが起きた中学校はのどかな田園に囲まれている。事件を起こした3人のうち2人は同級生と同じクラスで、残る1人が別だった。

 信じられない「いじめ行為」が繰り広げられたのは11月11日。

  市教委によると、逮捕された3人は昼休みに、体育館横の人目につかない場所に、被害を受けた同級生を呼び出し、いきなり3人の目の前で、排泄するよう要求 した。同級生が拒否すると、今度は全裸になるよう強要。3人はその姿を、本来は学校に持ち込みを禁止されている各自の携帯電話で撮影した。

3人はさらに5時限目が終わった後、同じ体育館横にこの同級生を呼び出したが、時間に遅れたとして、投げ倒したり蹴ったりするなどし暴行。再び排泄するよ う命令したが、同級生が拒否すると、事前に用意していた排泄物を同級生に持たせたうえで、同級生の担任教諭の軽乗用車にすりつけるよう要求。同級生は断り切れず、その命令を実行に移した。

3人を逮捕した県警高島署によると、さらに衝撃的な要求が浮かび上がる。3人は全裸撮影の際、同級生に無理やりピースサインのポーズをとらせたう えで排泄する姿勢を強要して写したという。

そして、その画像を携帯電話のメール機能を使い、複数の同級生に送付していたという。

こうした行為を知った同級生の母親が事件翌日の12日、高島署に被害届を提出、合わせて学校側にも伝え、3人は4日後の16日に逮捕された。大津地検は強要と暴力行為処罰法違反の非行事実で3人を家裁送致、今後、大津家裁で少年審判が行われる。
 
 捜査関係者によると、同級生の保護者は、過去にも子供に対するいじめが行われていたとして、何度も学校に説明したが、適切な対応をとらなかったため、警察に届け出ることを決めたという。

  一方、市教委は逮捕後、11日のいじめ行為では、もう1人別の同級生も強要を受けていたことを明かした。3人は5時限目終了後、被害を受けた同級生ととも に、別の同級生を呼び出し、排泄を強要したが、この同級生は拒否し教室に戻ったため、それ以上のいじめは受けなかったという。


当初「いじめ」と認識せず


被害を受けた同級生に対するいじめは、いつごろから行われていたのか。

  事件が起きた11日、学校側は、教諭の車が汚されていたことや、昼休み時間に体育館に被害同級生の名前が入った体操服が落ちているのを別の生徒が目撃して いたことから、被害同級生を家庭訪問し、事情を聴いた。

この結果、この日の3人のいじめ行為が明らかになり、生徒3人を呼び出し、本当に行為があったか再 確認した。

16日の逮捕当日、市教委で報道陣の前に姿を見せた校長は6月、今回逮捕されたうちの2人が、被害者になった同級生をたたいたり、筆箱やスリッパを 隠すたりする行為があったことを把握していながら、「いじめとは認識していなかった」と明かした。市教委にも行為自体は報告したものの、「いじめ」という 表現は使っていなかったという。

 さらに、こうした行為について校長は「保護者からも2、3回相談を受けていた」と認めたが、「からかわれ ている」という程度の認識だったという。ただ、「今後いじめが起きてくる」可能性があるとして、学年主任の教諭が7月にこの2人を呼び出し注意し、「二度 としない」と約束させていた。

 逮捕された3人は学校側の聞き取りに、いじめ行為について「すみませんでした」と反省の態度をみせたものの、動機については「からかい半分でやった」と話したという。

 学校側は3人のうち2人による6月の行為をあげたが、高島署によると、3人とも今年4月ごろから被害同級生を繰り返しいじめ、ホースで水をかけたり、給食のトレイを投げつけたりしていたという。
  事件発生から1週間後の11月18日、校長と、市の高橋博志教育長、富永雄教・主席教育次長の3人が市教委で記者会見し、深々と頭を下げ謝罪。

校長は「今 思うと、6月のことが今回の事件にもつながっている。大変なことをしてしまった」と悔い、「いじめに対する認識が甘かった」と反省した。また、高橋教育長 も「遊び、からかいだと思ったのが、私たちの甘さだった。生徒の小さな変化に気づき、いじめに発展するかもしれないという気持ちを持つよう指導したい」と 述べた。

 なくならない「いじめ」

学校は11月14日に、1~3年生の学年集会を開き、事件の経過を伝えた。さらに同日、ほかにいじめ行為などがなかったかどうかを調べるため、全校生徒を対象にアンケートも実施。問題があれば、教諭が個別に生徒の相談に応じる態勢もとっている。

 一方、被害を受けた同級生は、けがはなかったものの2日間、別室で授業を受けた。学校側は派遣されているスクールカウンセラーのもとに通わせ、心のケアに取り組んでいる。

 市教委も、全市的にいじめの再発防止と生徒の心のケアに取り組む。市立の16小学校、6中学校全校で、いじめに関与したり見たりしたことがあるかなど、全校生徒を対象にアンケートを実施している。

  滋賀県内では、10月に大津市のマンションで、住人で市立中学2年の男子生徒(13)が転落死。その後の市教委の調査で、死亡の約1カ月前から同級生数人 からハチを食べさせられそうになったり、ズボンをずらされたりするなどのいじめを受けていたことが判明したばかりだった。

 いじめは近年減少しているとされる。文部科学省の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、中学校のいじめの「認知件数」は平成18年度(5万1310件)と比べると、22年度(3万2348件)には4割減にまで減少している。

 しかし、認知件数自体は依然として3万件を超えており、深刻な社会問題であることには変わりない。

 同調査によると、いじめが発見されるきっかけは、中学校の場合半数近い47・5%が「学校の教職員等が発見」で、被害を受けた本人から訴えるケースは26・9%。被害を受けた本人以外の生徒からの情報でわかる場合は5・7%しかない。

  文部科学省児童生徒課では「いじめられている本人は言い出しにくく、周りの生徒も教員らに切り出しにくい。学校の教員らが見つけなければ、なかなか表に出 にくい」と指摘したうえで、「連絡ノートや個別面談、アンケートを活用して児童、生徒が言い出すきっかけをつくるよう呼びかけている」と話している。

 © 2012 The Sankei Shimbun & Sankei Digital


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