12/07/2011

「家の被害判定」、住民間に生まれた溝

 



津波で被害を受けた住宅に関しては、行政が被害の度合いを判定しています。ところが、その基準が曖昧なため、一部の地域では住民の近所づきあいにあつれきを生んでいます。

「顔を合わせても挨拶しなくなる住民が出てきたり・・・」(気仙沼市南郷地区 自治会副会長・伊東征吉さん)

そう懸念を口にするのは、気仙沼市南郷地区で自治会の副会長をする伊東征吉さん。住民間に溝が生まれたきっかけは、「家の被害判定」だといいます。

3月11日、川の堤防を乗り越えて押し寄せた津波。映っているのが伊東さんの住む南郷地区です。多くの住宅が2メートル以上のヘドロや油混じりの海水に浸 かりました。伊東さんの家も改修が必要になり300万円以上かかりましたが、「り災証明書」に記された被害判定は「大規模半壊」。市の職員が家の外壁など を見て判定したといいます。

国は今回、津波で家が被災した人を速やかに救済するため、「全壊」と「大規模半壊」のラインを「おおむね」1階天井まで浸水したかどうかに定めました。しかし、この「おおむね」という基準が問題になっています。

「 こちらの家が『全壊』。こっちの2~3軒が『大規模半壊』」(気仙沼市南郷地区 自治会副会長・伊東征吉さん)

改修中のこちらの家、天井下20センチまで浸水したといいますが、判定は「大規模半壊」でした。一方、窓から見える裏手の家、浸水した高さは・・・。改修前に撮影した写真を参考に天井からの距離をはかると、天井下64センチの浸水で判定は「全壊」。

「お隣さん(『大規模半壊』判定)はかわいそう。(判定に)不平等感はある」(「全壊」の判定を受けた南郷地区の住人)

なぜ、このような判定になるのでしょうか。

「隣の家とこちらの家では、土台や1階の天井の高さが違うので、違う(判定)結果が出たと考えられる。何か恣意的にとか、いいかげんということではなく、どうしてもそういう結果が出てしまう」(気仙沼市・菅原茂市長)

しかし、「全壊」か「大規模半壊」かでは受けられる経済的な支援が大きく異なります。南郷地区の場合、義援金の支給や税金の減免などでおよそ2倍の差があるのです。「大規模半壊」とされた伊東さんも、「判定に納得できない」と不満を口にします。

「泥出しから大工から、電気製品も自分たちで用意した。大規模(半壊)に判定されるのは一番の不満」(気仙沼市南郷地区 自治会副会長・伊東征吉さん)

伊東さんら判定に不満を持つ地域の住民は、気仙沼市に対して再調査を求めました。市は再調査を実施しましたが、判定結果は「大規模半壊」のままでした。

「自治会だって総会を開けない状態。“みんなで頑張ろう”という気持ちをそいでいるように思える」(再調査を求めた『有志の会』・川村兼吾事務局長)

「おおむね」という曖昧な判定基準が、今もまだ、住民間に微妙な溝を生んだままとなっています。(07日18:07)

 http://news.tbs.co.jp/20111207/newseye/tbs_newseye4896255.html

    Choose :
  • OR
  • To comment