10/18/2011

朽木で光再び 復興祈り絵筆 福島から避難の画家が親子展

 

 東日本大震災で事故を起こした福島第1原発から7キロの福島県富岡町の自宅を離れ、滋賀県高島市朽木の市営住宅で避難生活を送る画家青山和憲さん (64)と、子ども二人による「親子展」が16日、同市安曇川町のギャラリー藤乃井で始まる。震災後に失いかけた意欲を取り戻し、家族で再び創作に挑む。
 
和憲さんは「光と祈り」をテーマに、油絵を描き続ける。感性や情念を表す細い線の塊で、静物や風景、仏を表してきた。

 この春。平和の象徴として「光に包まれたケーキ」の連作に挑もうとした矢先の震災。家もアトリエも無事だったが、原発事故で避難を強いられた。

 3月末に朽木へ。「何を描いていいのか分からない」。和憲さんは描く意欲を失った。だが、近所の人々の親切、美しい風景が家族を癒やす。6月、妻の總子さん(62)と富岡町に一時帰宅し、高島に着いた時に「ああ、帰ってきた」。心境の変化に気付いた。
 再び、絵の具と筆、カンバスをそろえた。被災地の浜を、強い日光が照らす心象風景の「菩提の風よ吹け」を描き始めた。訪れた比叡山で、美しい木漏れ日を写真に収め、「聖人のまほろば」を描いた。過去の12点とともに並べる。

 いずれ福島県に帰るか、高島市にいるか、家族の結論は出ていない。和憲さんは「自然の力は、厳しく、温かい。断ち切られても、継続しているものもある。震災でそんなことに気付いた。私の画風も変わるかもしれないが、光は追い続けたい」と話す。

 長女で漫画家志望の芽雨美(めうみ)さん(24)は、富岡町の風景など9点を並べ、長男で漫画家アシスタントの萌土(もえと)さん(30)=千葉県八千代市=も2点を寄せる。23日まで。

入場無料。問い合わせは藤乃井TEL0740(32)0150。



 ◇福島から避難・移住し半年

 東日本大震災による福島第1原発事故で、10キロ圏に位置する福島県富岡町から高島市に避難・移住している青山和憲さん(64)=雅号、野音(のお と)=ら画家一家が16日から、同市安曇川町田中のギャラリー藤乃井で作品展を開く。高島市に落ち着いて半年。海外でも評価された和憲さんは「絵描きとし て再出発できると思えるようになった」と語り、一家の人生“復興”の足掛かりに、との思いだ。【塚原和俊】

 一家は和憲さんと漫画家を目指す娘、芽雨美(めうみ)さん(24)=雅号、うめ=、マネジャー役の妻總子(ふさこ)さん(62)。千葉県在住の漫画家ア シスタントの息子萌土(もえと)さん(30)も作品を寄せる。名古屋市の和憲さんの実家に保管していた作品や芽雨美さんのイラストなど二十数点を展示す る。

 青山さんの富岡町の家やアトリエは地震の揺れには耐えたが放射能の脅威にさらされ、脱出を決断。和憲さんの妹が大津市に住んでいることから滋賀県で避難先を探し、3月下旬に高島市朽木の市営住宅に入居した。

 和憲さんは「原発震災で、絵描きとしての存在が行方不明になっていた」と、脱出行を振り返る。今は「高島市の人たちに受け入れられて、自分を取り戻しつ つある」といい、再び絵筆を取った。芽雨美さんも「住宅が狭いのが悩み」だが、少女漫画家への夢をふくらませる。總子さんも「高島はいいところ。朽木の地 名に違和感があったが、今は誇りに思っている」と話し、3人の表情は明るい。

 作品展は23日まで午前10時~午後5時、無料。問い合わせは同ギャラリー(0740・32・0150)。

10月13日朝刊



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