8/10/2011

津波で送迎バスの園児死亡、4遺族が園側提訴

 

宮城県石巻市の私立日和(ひより)幼稚園の送迎バスが津波に巻き込まれ、園児5人が死亡した事故で、4遺族は10日、園側の対応に問題があったとして、 園を運営する学校法人「長谷川学院」と当時の園長に対し、計2億6690万円の損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。震災後、避難誘導をめぐって遺 族らが学校や園側の責任を問う訴訟は初めて。被災地では、避難誘導などに問題があったとして学校側の責任を問う動きが広がっている。



提訴したのは佐藤愛梨(あいり)ちゃん、佐々木明日香(あすか)ちゃん、西城春音(はるね)ちゃん(いずれも当時6)、男児(当時5)の父母8人。

訴状などによると、バスは3月11日、大津波警報発令後の午後3時ごろ、園児らを自宅に帰すため、高台にある園を出発。海辺の住宅街を回って園に戻る途中の坂道で渋滞に遭い、津波と火災に見舞われて女児4人、男児1人が死亡、添乗員の女性が行方不明となった。

遺族側は「園は警報で津波の危険性を予見できたのに、被害を受ける可能性が高い海側にバスを走らせた」「地震時のマニュアルを周知せず、避難訓練も実施 しなかった」などと主張。これに対し、園側の代理人弁護士は「大津波が来るとは予想できず、園に責任はない」などとして争う構えだ。

提訴後、原告らが記者会見した。愛梨ちゃんの母美香さん(36)は「こんなことは二度と起こって欲しくない。こういう思いをするのは私たちだけでたくさんです」。春音ちゃんの父靖之(やすし)さん(42)は「真実を明らかにしなければ、再発防止はあり得ない」と話した。

被災地では、宮城県山元町の常磐山元自動車学校の送迎バスが津波に巻き込まれ教習生25人が死亡した事故で、遺族らが学校側に損害賠償請求訴訟を起こす 準備を進めている。児童74人が死亡・行方不明となった石巻市立大川小学校の遺族からも、学校側の責任を問う声が上がっている。


私立日和(ひより)幼稚園の当時の園長(3月末で退職)が朝日新聞の取材に応じた。主なやりとりは次の通り。

――園のマニュアルには保護者の迎えを待って園児を引き渡すことになっている。なぜ迎えを待たずにバスを出発させたのか。
雨やみぞれが降り、風が吹いていた。地震が収まったので、子どもの様子を見て、親元に早く帰したいと判断した。申し訳ないと感じている。

――津波が来るとは思わなかったのか。
バスが出発した時は、思わなかった。その後、警報を聞き、運転手に電話をしたり、職員を迎えに行かせたりしたが、ここまで大きな津波とは思わなかった。

――バスが被災した場所は知っていたのか。
もちろん。

――すぐ救助に向かわなかったのはなぜか。
全職員を連れて行き、捜すというのも考えられたが、周囲は2階建ての家が覆いかぶさり、車が何台もあり、水も高いところまで来ていた。「あきらめるのが早い」とお叱りをいただいたが、惨状を見てパニックになってしまった。


朝日新聞より

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