5/24/2011

ミズーリ竜巻、原因はメキシコ湾の水温

 

Willie Drye
for National Geographic News
May 24, 2011

5月22日にアメリカ、ミズーリ州ジョプリンで竜巻が発生、少なくとも116人の死者が出る惨事になった。民間 気象予報サービス会社「ウエザー・アンダーグラウンド(Weather Underground)」の気象学ディレクターであるジェフ・マスターズ氏によると、竜巻の発生はメキシコ湾の水温上昇もその要因の一つだという。



  竜巻は、暖かく湿った空気と冷たい乾燥した空気が衝突し、暴風が発達する過程で生まれる。まず、暖かい空気が冷たい空気の層に乗り上げるようにして上昇する。ある条件が重なると、上昇気流が渦を巻いて「メソサイクロン」という竜巻の元となる小規模低気圧になる。


メソサイクロンはやがて細長い雲「漏斗雲(ろうとうん)」を形成し、地上に達すると竜巻となる。ただし、竜巻の発達には暖気の持続的な流入が必要で、その供給源となるのがメキシコ湾である。


「メキシコ湾の暖かく湿った空気が北上、ロッキー山脈とアパラチア山脈の間に流れ込み、毎年春に発生する竜巻の原因となっている。頻発するこの地域は“竜 巻街道”と名が付いているくらいだ」とマスターズ氏は話す。「特に2011年の春は、メキシコ湾の一部の表面水温が平年より1度ほど上昇した。先週末、ミ ズーリ州をはじめアメリカ中西部を襲った多数の竜巻の一因となっているようだ」。

22日にジョプリンに襲来した竜巻は、建物をなぎ倒し、自動車を宙に巻き上げ、道路の舗装を引きはがした。マスターズ氏によると、竜巻の威力を被害状況 に基づいて分類する藤田スケールでは、観測史上最高のF5級に相当する可能性があるという。「現場の舗装がはぎ取られていて、F4以下だとここまで被害は 広がらない。F5級の可能性は高いと思う」。


藤田スケールでは、風速93~116メートル/秒の竜巻がF4、117~142メートル/秒がF5に分類されている。

今年の4月にはアメリカ南部でも記録的な数で発生して甚大な被害が出た。しかし竜巻の当たり年というわけではないという。「過去60年間で、大規模竜巻 の傾向に変化はない」とマスターズ氏は述べる。また、AP通信が伝えた全米悪天候調査研究所(NSSL)の報告によると、今年のシーズンは既に450人以 上の犠牲者が出ているが、アメリカ史上では9番目だという。

実際、先週末にアメリカ中西部を襲った複数の竜巻も、季節的なパターンと一致している。メキシコ湾の暖かい湿潤な空気が、カナダから南下してくる冷たい 乾燥した空気と衝突する竜巻街道では、通常は4月ごろに最初の竜巻が発生する。場所はアメリカ深南部(アラバマ、ルイジアナ、ミシシッピ各州の周辺)だ。

春が深まって5月になると暖気と冷気の境目が北上し、竜巻の頻発する地域もアメリカ中西部に移る。シーズン最後となる6月を迎えると、さらに北のミネソタやノースダコタ、サウスダコタ各州で被害が目立ち始めるのが通常の発生パターンだ。

Photograph by Julie Denesha, Getty Images



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