5/20/2011

東日本大震災:遺族義援金に差 岩手・宮城、兄弟支給せず

 

 東日本大震災の死亡者遺族への義援金支給を巡り、被害の大きかった東北の3県で対象とする「遺族」の範囲が異なり、居住する県によって不公平が生じていることが分かった。福島県が兄弟・姉妹にも支給は可能とした一方、岩手、宮城両県は対象から外していた。震災で家族全員が死亡し、兄弟らが葬儀代を負担したケースもあり、「なぜ認められないのか」と疑問の声も出ている。【釣田祐喜】

 岩手、宮城両県は阪神大震災(95年)での兵庫県の先例を踏襲し、支給対象を優先順に▽配偶者▽子▽父母▽孫▽祖父母に限定した。義援金の配分に根拠法はないが、兵庫県は阪神大震災当時、「災害弔慰金の支給等に関する法律」に基づく「災害弔慰金」の基準を準用した。

 支給対象の限定について岩手、宮城両県の担当者は、いずれも「悩ましかった」としたうえで、「(検討の)余裕がなかった」(岩手)、「(阪神大震災の)実績を重視した」(宮城)と説明する。

 岩手県宮古市の無職、伊藤一男さん(72)は「兄弟や姉妹以外に身寄りがない人もたくさんいるのに……」と悔しがる。弟夫婦は津波で死亡。子供はおらず、自身も浸水被害に遭った伊藤さんが喪主を務め、葬儀費用も負担した。市に義援金を請求しようとしたところ「対象外」といわれたという。

 一方、福島県は対象範囲を細かく明記せず、死亡者が出た家族の「代表者」とした。実の兄弟、姉妹も対象となる。その代わり、対象の優先順位などを判断できる遺産相続の書類「遺産分割協議書」などの持参を求めた。担当者は「配偶者や直系遺族がいない場合もある」と説明する。

 今回の震災では被害が複数県にまたがったため、国が協力して義援金配分割合決定委員会を設置し、死亡者1人当たりの配分額などを検討。しかし支給対象までは踏み込まず、各自治体設置の配分委員会に委ねた。

 厚生労働省社会・援護局総務課は「義援金は『民間のお金』で国は本来関与すべきではない」と踏み込んだ検討をしなかった理由を説明する。一方、各県からは「統一の指針や方針を示してほしかった」との声も漏れる。

 被災者の電話・面接相談を行っている岩手弁護士会災害対策本部の石橋乙秀本部長は「弁護士会にも同様の相談が複数寄せられている。兄弟らが認められないのは合理的でない」と話している。
 ◇東日本大震災義援金

 国は初めて義援金窓口の日本赤十字社などによる「義援金配分割合決定委員会」の設置に協力。決定委は4月8日、死亡者1人当たり35万円の支払いを決めた。これに県単位で受け付けた分を上乗せする。日本赤十字社と中央共同募金会は1次配分として▽岩手県に約102億円▽宮城県に約295億円▽福島県に約277億円を送金。3県は県の集約分と合わせ、市町村を窓口に受給申請を受け付けている。

毎日新聞 2011年5月14日 15時01分(最終更新 5月14日 19時49分)

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