4/18/2011

福島第1原発 「飯舘牛」危機…計画避難で肥育困難

 


飯舘村振興公社で育てられる飯舘牛。原発事故が長期化し、世話をしてきた畜産農家の苦悩は深まっている=福島県飯舘村で、前谷宏撮影

福島第1原発の事故の影響で全域が「計画的避難区域」に指定される福島県飯舘(いいたて)村の高級牛肉ブランド「飯舘牛」が消滅の危機にある。全村避難 になれば、村内での肉牛肥育は難しくなり、風評で買い手がつかなくなる恐れもあるためだ。関係者は「もし村に戻ることができたとしても、一度広がった風評 は簡単には消せない」と苦悩する。

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飯舘牛は、村やJAそうまなどが出資する村振興公社が中心となって生産している霜降り牛肉。出荷される年約300頭の黒毛和牛のうち、格付け(15段階)の最高級の「A5」と「A4」と評価されたものを「飯舘牛」ブランドで販売している。

飯舘村は標高400メートル以上に位置し、作物が冷害を受けやすいことから畜産に力を入れてきた。88年設立の同公社は、和牛の子牛を肥育してブランド 化を推進。村を挙げての努力が実り、数年前から東京・銀座の高級レストランや箱根駅伝のスタッフ用弁当に登場するなど、名前が浸透しつつあった。

だが、原発事故で状況は暗転。村の放射線量が報じられるとともに、1頭当たり80万~90万円台だった飯舘牛の市場価格は60万円台に低下した。約40 万円する子牛の購入代にエサ代などを加えると赤字状態という。今後、買い手がつかなくなる事態になれば、牛は処分せざるを得ない。

県は、原発20~30キロ圏や計画的避難区域の肉用・乳用牛を県外に移動させる方針だが、移動によるストレスへの懸念の声もある。政府は「計画避難によ る経済損失は補償する」としている。だが、公社担当者は「将来、村で肥育を再開できたとしても消費者が飯舘産牛肉を選ぶかどうか分からない。このままブラ ンドは消えてしまうかもしれない」と嘆いた。【前谷宏】


毎日新聞より

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