4/20/2011

東日本大震災:精神障害者につらい避難生活

 

東日本大震災の被災地で、精神障害者も満足な支援を受けられない生活を強いられている。宮城県南三陸町の避難所には、精神障害者のグループホーム「希望が丘」の入居者全員が集団避難。環境の激変で症状が悪化し避難所の運営側とのもめ事も起きた。13の障害者団体で組織された「日本障害フォーラム(JDF)」は、宮城、福島両県の避難所を訪問し安否確認や現状調査をしているが、行政の情報開示がなく実態把握は進んでいない。

「ストレス解消に外出したい。移動支援など福祉サービスを利用できないか」

希望が丘のサービス管理責任者の千葉文子さんは17日、避難所の宿泊施設「平成の森」で、調査に訪れたJDFメンバーで埼玉県行田市の福祉施設に勤務する小野寺孝仁さん(47)らに訴えた。小野寺さんは「使えるサービス事業者を探して連絡します」と約束。そして事前の聞き取り調査で要望された演歌のCDとラジカセなどを千葉さんに手渡した。

避難生活の場は個室だが、8畳間に、入居者5人と近所から避難してきた精神障害のある1人が入り、満足な睡眠が取れない。

ある男性入居者は、避難生活や実家が浸水したショックで症状が悪化し、攻撃的な振る舞いが目立つようになったという。当番制のトイレ掃除を深夜にしてしまい、運営側との間でトラブルになった。他の入居者の睡眠を妨害することもあり、全員がストレスを抱えているが、千葉さんは「解決策は見つからない」と嘆く。

精神障害者にとっても避難所生活はつらいが、一方で安否確認は進んでいない。JDFは避難所を訪ね歩き障害者から聞き取り調査を続けており、19日までに訪問した避難所は240カ所。そのうち安否確認や支援できた障害者は140人で、県内沿岸部の障害者手帳所持者5万3511人のうち0.3%に過ぎない。

JDFは県や各市町村に障害者の情報開示を求めているが、応じたのは東松島市のみ。同市はJDFに、在宅や避難所にいる障害者の情報、安否確認、必要な支援などの聞き取り調査を委任し報告を受けている。

JDFみやぎ支援センターの小野浩事務局長は、個人情報保護法の制約を緩和するよう、障害者手帳の情報開示を政府などに要望する準備を進めている。「自治体が被災するなど今は普通の状態ではない。国難を乗り越えて命を守るために柔軟に対応すべきだ」と訴えている。

JDFは、被災地の障害者や家族に対し、安否情報や、必要な支援内容の情報提供を呼びかけている。問い合わせは、みやぎ支援センター(080・4373・6077)、ふくしま支援センター(024・925・2428)。

【泉谷由梨子】


毎日新聞社  http://mainichi.jp/

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