4/20/2011

東日本大震災:僧侶の兄弟、ボランティア読経 岩手・山田

 

東日本大震災で400人を超える人が死亡した岩手県山田町の斎場で、津波被害を受けて葬儀が出せない遺族らのために、隣接する曹洞宗寺院の僧侶の兄弟が火葬の度に駆け付け、ボランティアで読経している。ここまで大勢の遺体を目にした経験はなく、衝撃を受けるとともに「檀家(だんか)であろうとなかろうと供養を」と思い立った。喪服もなく、着の身着のまま参列した遺族が「手を合わせてくれるだけでもありがたい」と涙を流して感謝する場面もある。

山田町織笠の龍泉寺(りゅうせんじ)住職の石ケ森桂山(けいざん)さん(37)と弟の一杉(いっさん)さん(36)。龍泉寺は山間部にあり津波被害は免れた。

寺は遺体の仮安置所になり、計30体以上が次々と運ばれてきた。桂山さんは、幼児の遺体を見て涙が止まらなかった。2人は話し合い、「僧侶としてできることを」と遺体が来る度、焼香と読経を始めた。

5日後、隣接の斎場で電気が復旧し、1日5、6人ずつ火葬され始めた。参列するのは親族数人だけ。遺族自身も多くが家を失うなど大きな被害を受け、葬式をあげられない状態だ。石ケ森さん兄弟は、斎場での火入れにほぼ毎回交代で立ち会い、遺族を前に、袈裟(けさ)姿で読経している。

津波で死亡した山田町の湊ミチエ子さん(81)を25日に火葬した孫の安澤舞美さん(31)=愛知県豊田市=は「(葬式など)何もできないと思っていたので、ありがたいお経だった」と話した。祖母はリュックサックを背負い、避難しようとしたらしい。安澤さんは「必死だったと思う。お経の間、『生きたかったんだね。おばあちゃんの分まで生きるよ』と呼び掛けた」と涙を流した。

桂山さんは「普段のような葬儀もなく、スイッチで点火するだけでは寂しい。遺族のためにも、大震災に直面した僧侶としてできるだけの追悼をしたい」と話す。【熊谷豪】


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亡くなった方々(共同通信)

 

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