4/13/2011

「せめて遺骨だけでも…」墓地から無許可持ち出し相次ぐ

 



がれきと化した墓地。元あった墓の場所を娘と捜す公務員男性(左)は「場所がわからないと骨も拾えない。骨が無理ならせめて石のかけらだけでも…」と話す=7日、仙台市若林区荒浜、斉藤写す
記事「「せめて遺骨だけでも…」墓地から無許可持ち出し相次ぐ」より




東日本大震災で各地の墓地も損壊した。東北の沿岸部では、倒れた墓石が津波で押し流され、元の場所が見分けにくい中、「せめてお骨だけでも」と持ちだそうとする人の姿も。遺骨を移すには墓地管理者の了解と自治体の許可が必要だが、寺など管理者の多くも被災し、対応しきれずにいる。

仙台市若林区荒浜の寺。一帯は被害が大きかったところで、本堂は800メートルほど流され、数百基あった墓は壊滅した。そこに1人、また1人と檀家(だんか)が集まる。

「この井戸の後ろに墓があったべや」「いや、ななめ後ろだったべ」

宮城県塩釜市の小泉良子さん(64)は、夫の敦弘さん(64)と7日午前、両親の墓を捜し始めた。良子さんは「一番の目的はお骨。見つければ、塩釜に持ってかえって移せるんだけど」と話す。

30分後、碑銘を表にした墓石を10メートルほど先で見つけた。敦弘さんが「(先祖が)捜してくれって言ってたんだな」とつぶやくと、良子さんは涙を流した。後日、遺骨を捜すという。

すでに遺骨を持ち出した人もいる。「黙って持って行ったらいかんと思うけど……」。仙台市内の80代男性は、妻と父親の遺骨を掘り出した。被害を免れた建物との位置関係から墓の場所をさがし当てた。墓石はなく、墓穴があらわになっていた。

持参した青いバケツには、津波の土砂。そこに白い遺骨が混じっていた。「あのまま雨や風にさらすわけにもいかんでしょう」と男性はいう。

厚生労働省所管の墓地埋葬法では、遺骨を動かす「改葬」には許可申請が義務づけられている。仙台市生活衛生課によると、自治体への申請には、墓地管理者の署名や印鑑が必要。無断で改葬すると、罰金の規定もあるという。


市担当者は「管理者に無断で遺骨を持って行くと、他人の遺骨と間違うこともあるかもしれない。被災状況が明らかになるまで、持ち去らないようにしてほしい」と訴える。

だが、管理者の多くも避難するなどしていて連絡がつかない。連絡がとれても、対応しきれない寺もある。約380年の歴史がある同県岩沼市下野郷の法円寺は、160基あった墓が流され、墓地の管理に必要な帳簿も流失した。


住職の寺川一成さん(70)は「檀家さんが遺骨を持って行こうと、(檀家をやめる)離檀をしようと、寺ではとめられない。遺骨を集めて預かりたいが、お寺も流されてしまったのだから……」と話す。


全日本墓園協会の横田睦主任研究員は「寺も檀家も被災した今、墓をどうするかはまだまだ先の話。生活が落ちついたら、管理者と使用者が共に考えるべきだ」と話している。(斉藤佑介)


朝日新聞

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