4/20/2011

古里…さらに遠のく 警戒区域設定で20キロ圏内住民

 

また古里が遠くなる-。福島県の福島第一原発から半径20キロの避難指示区域が近く警戒区域に指定される見通しとなった20日、住民にやり切れない思いが広がった。指定後の立ち入りに罰則が設けられることへの割り切れなさも募る一方、一時帰宅への期待も。複雑な思いが交わる中、各自治体は指定を見据えた準備を進めている。

■一時帰宅には期待

「どんなことがあっても家から動きたくない…」。南相馬市原町区の高野ミサヲさん(81)は自宅が立ち入り禁止になる見通しを聞き、言葉を失った。
県北地方の避難所に一時避難し、今月上旬に自宅に戻ったばかり。「これ以上、避難所暮らしを続けたら病気になってしまう」

大熊町の赤井正之さん(64)は20日、埼玉県の避難所から会津若松市の大熊町役場出張所を訪れた。「津波に家を流され、全てを失った。その上、古里に戻れなくなるなんて…」と肩を落とした。

「自分の家に帰ることが悪いことなのか」。南相馬市小高区から原町区に避難している大工菅野精一さん(60)は罰則規定に対する疑念を払いきれない。

20キロ圏内という設定方法にも疑問の声が上がる。福島市の避難所にいる双葉町の無職大塚正樹さん(51)は「20キロ圏外で、もっと放射線量が高い地域もある。納得がいかない」と不満顔だ。

ただ、一時帰宅への期待は大きく、郡山市に避難する富岡町の農業男性(60)は「鍵もかけずに避難してきた。お金や通帳、印鑑を持ってきたい」と、その日を待ちわびる。

会津美里町に避難している楢葉町の無職鈴木義夫さん(62)は、持ち運びの時間や手段が限られると予想し「貴重品、両親の位牌(いはい)、写真だけでも」と計画する。

新潟県に避難する浪江町の自営業愛沢満さん(55)は「指定後、残された個人財産をどう保全するのか、政府は示すべきだ」とも訴えた。

猪苗代町に自主避難している富岡町の司法書士加藤隆幸さん(79)は約一カ月前の避難時に遭遇した激しい渋滞が忘れられない。「どんな方法で一時帰宅させるのか。もうあのような混乱はたくさんだ」と話し、一時帰宅がスムーズに進むよう国や自治体に要望した。

(2011/04/21 10:50)


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