4/18/2011

「友達少なくなったね…」石巻市で登校集会

 

校舎が津波にのまれ、大勢の犠牲者を出した宮城県石巻市立大川小学校が29日、市内の別の小学校で今年度最後の登校集会を開いた。全校児童108人のうち、津波で56人が死亡、18人が行方不明となった。生存が確認された34人中、出席したのは28人。本来ならそばにいるはずの友達がいない。児童らは久しぶりの再会を喜ぶ一方、卒業式や修了式も行えず、心に重い不安を抱えたまま、この日を迎えた。

「友達の数が少なくなってしまったね」。柏葉照幸校長(57)によると、校長のこの言葉を児童らは一様に寂しげに聞いていたという。「冥福を祈って黙(もく)祷(とう)をささげましょう」との呼び掛けにそろって黙祷した後、柏葉校長は、不安そうな表情を浮かべる児童らに語り掛けた。

「たくさんの友達が亡くなったり、行方不明になったりしていますが、いまこの皆で力を合わせ、また笑顔がいっぱいの学校をつくっていきましょう」

児童らは「はい」と返事をしたが、震災前の元気さはなかったという。集会は約20分間。終了後には、久しぶりの友達との再会に「何してた?」と声をかけ、気丈にはしゃぐ児童の姿もあった。

集会は大川小から内陸側に10キロ離れ、被害を免れた同市立飯野川第1小学校の教室を借りて開かれた。児童らは親に手をひかれたり、車に乗せられたりしてぽつりぽつりと登校。職員の「おはよう」との声にも応えず、硬い表情でまっすぐ校舎内に入る親子もいたが、女児の一人は玄関で友達の顔を見つけると、友達の名前を叫んで「よかった!」と抱きついた。

柏葉校長は「どんな形でも卒業式をやってあげたい」としていたが、6年生21人中、生存が確かめられたのはわずか5人という現実に、死亡した生徒や父母の心境をおもんばかって式をとりやめた。

校長は出席した6年生に「卒業証書が渡せる日がくればいいね」と声を掛けたが、卒業証書を収めていた金庫も見つかっておらず、実現のめどは立たない。学校を不在にしていて助かった柏葉校長のほかに生存が確認された教諭は1人だけ。その教諭も自宅療養が続いている。

柏葉校長は「児童の顔を見て、明るさもあって安心しました」としながらも「子供たちは心に重いものがのしかかっている。心のケアをしながら乗り越えさせたい」と語る。

同市では、4月21日に新学期の始業を予定しているが、大川小は復旧の見通しもなく、第1小の教室を借りて授業を始められるよう調整。第1小の父母らが大川小の児童のためにランドセルを集めるなどの協力を進めている。(桜井紀雄、荒船清太)

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