4/14/2011

18歳遺影空自入隊に笑み 山口の基地で式典

 

写真だけでも入隊させたい―。
自衛官を目指しながら、東日本大震災の津波で夢を絶たれた宮城県石巻市の女性の遺影が14日、配属されるはずだった航空自衛隊の入隊式に参加した。新人隊員の列に遺影が加わるのは異例。「志をつないでほしい」と願う遺族や隊員らの思いが、実現を後押しした。

入隊予定だったのは、石巻市釜谷の武山紗季さん(18)。航空自衛隊防府南基地(山口県防府市)で開かれた式典には、採用を担当した宮城地方協力本部石巻地域事務所(東松島市)の小林秀昭所長(46)と鈴木和盛広報官(37)が出席した。鈴木さんが抱えた遺影の武山さんは、画像を合成した自衛隊の制服に身を包み、優しい目でほほ笑んでいた。

同基地の柏原敬子司令が「志半ばで亡くなった武山さんの分まで頑張ってほしい」とあいさつ。新入隊員らは神妙な面持ちで聞いた。

遺影での参加は、父邦夫さん(54)が願い出た。小林さんは「武山さんと遺族の思いを分かち合いたい」と快諾。行方不明の祖母の捜索のため、式に参加できない邦夫さんから遺影を預かった。
武山さんは3月初めに地元の高校を卒業。震災が発生した11日、母、祖母と3人で避難した自宅近くの石巻市大川小で津波に襲われた。遺体は約1週間後、母とともに校舎の中から見つかった。
小林さんは昨年夏から、武山さんに入隊の心構えなどを指導してきた。「飛行機が好きで、はきはきとした口調の明るい子だった。航空自衛官として国民のために働きたいと語っていた」と在りし日を振り返る。


邦夫さんは「同僚になるはずだった若い隊員には、紗季の志とともに、津波の恐ろしさも受け止め、今後につなげてほしい」と語った。

宮城県内で本年度の入隊予定者は311人。うち、紗季さんら3人が津波で亡くなった。(武田俊郎)

2011年04月15日金曜日  


河北新報より

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