4/30/2011

警戒区域、ペットの悲劇 やせ細り徘徊 一時帰宅、再会できるか

 

■きょうから調査

東京電力福島第1原子力発電所から半径20キロ以内の地域が「避難指示区域」から、立ち入ると罰則規定のある「警戒区域」に切り替わったことで、区域内に残された動物の保護が改めて問題となっている。環境省は一時帰宅の住民によるペットの連れ出しを検討しているが、どの程度のペットが取り残されているのか実態を把握できていない。福島県は環境省とともに28日から現地調査を実施、発見したペットの保護も行うという。(油原聡子)

建物が崩れ、信号が停止した町を、首輪をつけたままの犬や猫が徘徊(はいかい)する。やせ細った体は骨が浮き上がり、車を見かけるとエサを求めるように近寄ってくる-。ペットの救出活動を行っていたNPOなどによると、警戒区域内では、残されたペットたちのこうした姿が目につくという。

福島県によると、震災前の警戒区域9市町村の犬の登録数は約5800匹。現在、何匹が残されているのかは不明だ。

当初は民間団体やNPOがボランティアでエサやりなどを行っていたが、22日から警戒区域に切り替わり、区域内に立ち入ると罰則が加えられることから、各団体も立ち入りに躊躇(ちゅうちょ)。環境省や福島県には「何とかして助けてほしい」との電話やメールが殺到しているという。

富岡町では、庭のおりに残された2匹の犬のうち、体格の大きな1匹が生き残り、もう1匹は頭部だけが白骨化した状態で死んでいるのが確認された。共食いしたとみられる。飼い主の親族の女性(36)は「早く戻れると思い、エサと水は置いていったのだが…」と声を詰まらせる。

4月上旬に浪江町などの避難指示区域で救出活動を行った関西のNPO法人の男性(28)は、警戒区域に切り替わって以降、救助活動を行っていない。「動物の命を救いたい気持ちはあるが、地元の人や行政に迷惑をかけることを考えると行けない。一刻も早く、警戒区域の動物を管理する必要がある」

一方、動物の死体などをエサにして生き残った犬が、野生化して繁殖を繰り返し、野犬の増加を招く可能性も指摘されている。

男性は「NPOで保護した犬は40匹近いが、そのほとんどが不妊手術をしておらず、現地では交尾する犬も見かけた。このままでは野犬が大量繁殖してしまう」と危惧する。

環境省は、一時帰宅の際に住民がペットを連れ出す方向で検討を進めている。ただ、避難の際に係留を解かれてしまった犬なども相当数いるとみられ、うまく“再会”できるかは分からない。「一時帰宅の連れ出しを待つだけでは不十分。積極的に立ち入ることが必要だ」と環境省の担当者。

福島県は28日からの現地調査で、係留が解かれたり、衰弱したペットの保護活動も行う予定だ。県の食品生活衛生課の担当者は「保護できないペットにはエサを置いてくるなど状況に合わせて対応をしたい」と話す。保護したペットは福島市内で一時保護し、飼い主を捜すという。



これから避難する福島県のペットを飼っている方(転載希望)の画像


産経新聞 4月28日(木)7時56分配信

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