4/17/2011

「遅く来て、すぐ帰るのね」枝野長官来県で南相馬市民

 

枝野幸男官房長官が17日、東京電力福島第1原発の事故後初めて、福島県内を訪れた。だが、日程は知事や市町村長との会談が中心で、県民と直接対話する機会がなかったため、政府のスポークスマンに生活の窮状を訴えたい一般県民には不信感だけが残った。

枝野長官は17日午前、福島市から南相馬市へ移動し、市役所で桜井勝延市長と会談後、防護服に着替えて原発から20キロ圏内の行方不明者捜索現場で警察官を激励した。

ところが、こうした動きに、物資不足などに苦しむ南相馬市民の評判は芳しくない。

30キロ圏内の屋内退避区域にある同市原町区の居酒屋「だいいち」。数日前に店を開け、ランチ営業に常連客が集まってくる。

おかみの佐藤洋子さん(62)は「最近は枝野って呼び捨てよ。こんなに遅く来て、帰るのだけは早いのね」。

スーパーが閉まり、銀行も開かず、新聞も宅配されない。買い物は20キロ先の相馬市へ。郵便も届かないので、電話で郡山市の郵便局に連絡し、数日後に南相馬郵便局に届けてもらう。それを自分で取りに行く。

こうした苦労を政府代表の枝野氏に「直接言いたかった」(佐藤さん)という。

客で、避難先の千葉県の子供のもとから最近戻った同町の病院事務、鈴木文恵さん(53)も「入院患者が避難していなくなった。このままでは医師も減り、病院や雇用もどうなるかわからない」と不安を訴えた。



枝野幸男官房長官(右から2人目、大山文兄撮影)

一方、枝野氏の訪問を受けた飯舘村の菅野典雄村長は会談後、記者団に対して「私も彼らも政治家だ。政治家の言葉には裏付けがほしい」と述べ、「しっかり対応」などの言葉だけが踊った政府側の対応に不安をのぞかせた。

政府は同村を計画的避難区域に指定する方針だ。村外避難について、枝野氏は「政府の責任で」と繰り返したが、菅野村長は「どういう責任をとるつもりなのか。どれだけの事実、行動が伴うんだろうか」と憤る。



福島第1原発から20キロ圏内の避難指示区域。建物はシャッターをおろし人影は見えない=11日午前、福島県南相馬市小高区 (大山文兄撮影)


「住民の安全」という言葉だけで、避難の正当性を訴えた枝野氏に対して、菅野村長は「家族、務め、近隣…。そういうものがあってこその“命”だろう」と強調。菅政権に対して「人に個性、組織に特徴があるが、そういう特徴の組織ということか」と寂しそうに話した。

産経新聞より

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