4/17/2011

東日本大震災:学校再開へ 教室避難者「動けぬ」

 

東日本大震災の被災地では新学期を前に、自治体が学校の教室に避難している被災者に対し、校内の体育館や別の公共施設に移るよう求める動きが進んでいる。しかし、2000人に別の学校の体育館へ移ってもらう必要がある宮城県石巻市では、住民の反発で16日から始める予定だった移転の意向調査を実施できず、18日の移動開始が微妙な情勢になった。予定通りに進んでいない自治体は他にもあり、各自治体は対応に苦慮している。

大津波が押し寄せた東松島、石巻、名取の各市など宮城県太平洋沿岸では、18~26日に新学期が始まる自治体がほとんど。

21日に新学期が始まる石巻市では、合併前の旧市の小中学校15校に5855人(13日現在)が避難。新学期へ向け、教室の避難者全員の体育館への移動を計画した。だが、15校の体育館には3545人分しか場所を確保できないと判明。急きょ、不足する2310人分として、市内の別の小中学校の体育館を使うことを決めた。

市は15日に避難住民への説明を開始。16日に説明会があった市立渡波(わたのは)小学校では「津波で車が流され、移動手段がない。別の避難所に行くと仕事に行けない」「教室が空いても子供が勉強できる環境ではなく、移転は急ぐ必要がない」などと批判や疑問が相次いだ。

避難所代表の高橋誠さん(45)は「車が流された人が多いので、別の場所に行っても移動できず孤立する。自立の足掛かりがつかめず生活再建を遅らせることになるのでは」と話した。

市保護課は「説明が遅くなったのは申し訳ない。新たな避難所でも間仕切りをつくるなど配慮している」と釈明したが、住民の納得は得られなかった。市は16~17日に意向調査を実施し、18~19日に移動してもらう予定だったが、見通しは立っていない。

約450人が避難する市立鹿妻(かづま)小では、体育館に定員いっぱいの約350人がいる。教室の避難者が加わって定員を超えれば、1人当たりのスペースが狭くなるなど生活環境が悪化する。自宅1階が津波で浸水したのに「体育館に行くなら帰宅した方がいい」と話す人もいた。

また従来は、ペット同伴の住民やインフルエンザ感染者など、教室ごとに分けて使ってきたが、体育館では同様の対応は難しい。同校の清元吉行校長は「体育館に統合すれば、避難所の衛生状態が崩れる恐れがある。必要最低限の教室だけで授業をするようにしたい」と話した。

市は取材に「移転は白紙に戻さざるをえないかも」と頭を抱えている。【高橋克哉】


毎日新聞より

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