3/13/2011

漂流3日、沖合15キロから奇跡の生還!  海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」が男性救出

 


最初の奇跡が起こった。東日本大震災の発生から3日目を迎えた13日午前11時半ごろ、福島県沖約15キロの洋上で、海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」が、家の屋根の一部に乗って漂流している同県相馬市の男性を発見。小型ボートで救助した。

男性は大津波の襲来でいったんは逃げたが、自宅に物を取りに帰って妻とともに巻き込まれ、丸2日漂流を続けた末の生還だった。

目を覆いたくなるような惨状。耳をふさぎたくなる窮状ばかりの中、奇跡のニュースが飛び込んできた。まさに「九死に一生」。東日本大震災による絶望から、劇的な希望が生まれた。

防衛省統合幕僚監部によると、海自イージス護衛艦「ちょうかい」に救助されたのは福島県南相馬市の新川広光さん(60)。「ちょうかい」は仙台市から千葉県銚子市にかけての沖合を担当するグループの1隻として活動。福島県沖を捜索中だった13日午前11時12分ごろ、海岸から約15キロの沖合にさしかかった。

艦の進路は北西、速度は12ノット(約20キロ)。見張り員が大型の双眼鏡で、右斜め前、約5キロ先に手を振っている新川さんを発見した。「ちょうかい」はライトを照射、汽笛を鳴らしながらそのまま進み、近くまで行くと搭載している内火艇(小型ボート)を下ろした。

新川さんは津波で倒壊した家屋や流木などのゴミが集まっている中で、広さ約6畳ほどのわずかに海面に出ている家屋の屋根に乗っていた。ベージュの作業着姿で、漂流中に拾ったというヘルメットをかぶり、名前と住所を書いた紙を入れた缶を所持。約1メートルほどの棒の先に結びつけられた小さな旗を左右に打ち振っていた。

午前11時29分、内火艇に救助されると、一瞬ホッとしたような表情を浮かべ、手渡された清涼飲料水を一気に飲み干した。そして次の瞬間、泣き崩れた。「近くを通りかかったヘリコプターや船に気づいてもらえなかった。自宅から2本持参した栄養ドリンクの2本目を飲んでしまい、今日が最後かなと思っていた」救助した隊員にしみじみと語ったという新川さんは、「ちょうかい」に収容後、艦載ヘリで午後1時55分、同県相馬市にある病院に到着した。左手や額に傷がある程度で意識ははっきりしているという。

「家から1度逃げたが、妻と物を取りに戻ったところに津波が来た。自分は屋根につかまって助かったが、妻は流された…」奥さんの行方は分かっていないが、新川さんの尊い命は救われた。海自幹部は「丸2日も漂流して無事だったのは、天候がよく海が荒れていなかったなどの好条件が重なった。運がよかった」と話す。自衛隊は今後、史上最大の10万人規模で救出作戦にあたる。そこに第2、第3の奇跡があってほしい。



朝日新聞

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