3/13/2011

東日本大震災:発生3日目…「町が消えた」 三陸沿岸地区

 

3日目の朝が明けた。未曽有の東日本大震災による巨大津波で壊滅的打撃を受けた三陸沿岸地区。廃虚と化したがれきの間で、被災者たちは命をつなぐように2夜を越し、空や陸路で救助に向かう自衛隊や消防隊の姿があった。

北海道の函館空港の開港とともに離陸。雲上を一気に南下する。

13日午前8時45分、宮城県南三陸町上空。機体をきしませながら一気に高度を下げると、眼下にがれきと化した市街地が飛び込んできた。「町が消えた」。そんな言葉が脳裏に浮かぶ。「消息不明者1万人」とされる港町は、巨大な爪で根こそぎさらわれたようだ。

港に面した町並みは家屋が一掃されコンクリートの土台が遺跡のように残っている。黒く見える一帯は火事で焼け焦げた跡だ。押しつぶされた家屋から1本の煙が上がっている。

高台にある志津川高校の校庭に白線で、大書された「SOS」の文字。その傍らに立つ人影が飛来した社機を見上げている。

志津川小学校の校庭には、救助のヘリを待つように「丸にH」の文字が見える。

沖合の海に目を転ずると、浮遊する家屋の残骸や油の間で、転覆した船が赤い船底を見せている。

深く入り組んだリアス式海岸。湾口から襲った津波は入り江の奥に進むにつれて凶暴さを増して牙をむいた。姿をとどめる山や高台の家とは対照的に、海沿いの低地は家の痕跡もとどめていない。

機体を北転させて、沿岸沿いに遡上(そじょう)して同県気仙沼市に向かう。途中に見えるJR気仙沼線の鉄橋が、コンクリートの橋脚を残して消えている。

市街地に近づくと、埠頭(ふとう)の跡に消防の赤いヘリが着陸しようとしている。海からは白い船が航跡を刻みながら接近している。

同9時、岩手県の陸前高田上空を旋回する。町の中心部の半分近くがいまだ水につかっている。野球場の半分が水に沈み、姿を残すのはコンクリートのマンションやビルだけだ。

泥水に埋もれた廃虚の間に、カーキ色の服を着た十数人の自衛隊員が列を作って歩いている。かすかに痕跡を残す道路の上を、毛布にくるまれた遺体を担架で運ぶ隊員もいる。

高台のグラウンドには陸路たどりついた陸上自衛隊のカーキ色の車両が並び、離れた場所には消防のレスキュー隊のテントが並ぶ。そして、内陸を結ぶ道路を遡上すると、被災地に向かう消防車が列を作って走っていた。しかし、さらに北部の沿岸地帯にある港町は孤立したまま。救助隊はまだ到着していない。

【萩尾信也】


毎日新聞

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